ブータン現地情報
         (General information)
 
 
 
◆ 面 積 : 47,000km2 (九州の1.1倍)
 
◆ 人 口 : 60万人
 
◆ 時 差 : GMT+6時間。日本より3時間遅い。
 
◆ 言 語 : 公用語はゾンカ(西ブータンの言語。なおゾンカの「力」は言語の意味)。
       官庁,ビジネス界,学校などでは英語が用いられている。他のヨーロッパ言語
       はほとんど通用しない。南ブータンではネパール語が,中央ブータンでは
       プムタンカが,また東部ブータンではシャーチョップカが使用されている。
 
◆ 電気・電圧: 公称220ボルトだが電圧は一定しておらず,極めて不安定。150ボルトか
       ら300ボルトに変電する事もあるので,精密機器使用の場合には要注意。
       コンセントの形状はア一スのついた三つ股タイプ。電池はインド製バッテ
       リーが大抵の場所で人手できるが,質が悪いので,必要なだけ日本から持参
       した方が無難。ブータンでは時々停電があるため,ホテルの客室にはどこ
       でも大きなローソクとマッチが備え付けられている。万一の場合手探りで
       も火を付けられるよう,予めそのありかを確認しておくとよい。小型の懐中
       電灯などを用意しておくと便利。
 
◆ 通 貨 : ニュルトラム(Ngultrum)。
      インド・ルピーと1対1の固定相場。実際インド通貨もかなり通用している。
      紙幣は,1,2,5,10,20,50,100ニュルトラムの7種類。コインもあるがあまり
      見かけない。
 
◆ 両 替 : 空港の両替所,銀行,ホテル,エンポリウム(国営商店)で。
       これらの場所では※ドルは勿論,日本円からの両替もできる(1995年2月
       7日現在100円=29.45ニュルトラム)が,公的機関以外での両替は違法
       となるうえ換算率も悪い。ホテルによってはオフィシャルでない場合も
       あるので要注意。両替の際のレシートは出国の際の再両替に必要となる。
       上記以外では日本円からの両替はできない。街での買い物にはニュルト
       ラム(またはインド・ルピー)通貨が必要なので,パロ空港で両替しておく
       とよい。クレジットカードの場合,エンポリウムではAMEXカード(VISA,
        MASTERCHARGEなど他のカードは不可)を使用できるが,それ以外ではカー
       ドは使えない。
 
◆ 食事と飲物:食事はホテルのレストランが中心。朝食はほとんど卵とコーヒー,ハム
       などのアメリカン・スタイル。昼食及び夕食はブータン料理,西洋料理,
       中華料理,インド料理のビュッフェなど(ホテルにより異なる)だが,外国人
       向けに味つけされているためどちらかと言えぱ淡泊。但し,ヘンツェ・
       バー(牛肉とほうれんそうの唐辛子煮込み料理)やエマダチ(唐辛子とチ
       ーズの煮込み料理)のように日本では考えられないような極辛料理もあ
       るので要注意,道端の小さなレストランの料理はインド式ブータン料理
       とでもいうべきもので,家庭で料理される本来のブータン料理とは別。
       ブータンでの一般的な飲物はインド式のミルク・ティーである。ブラック
       (シュガ一レス)ならPIKAといって頼むとよい。尚,伝統的なバター茶は
       外国人には特別な場合だけ振る舞われるが,お茶というよりはスープと
       いった感じ。
       ホテルで出されるコーヒー(大抵ネスカフェ)もブータンでは貴重品であ
       り,お茶ほど一般的でない。ハーブ・ティーはない。
       ホテルのバーを除き外国製の飲物はほとんど入手出来ないので,必要な
       ら持ち込むこと。尚,ブータン製のウィスキー(Bhutan Mistおよび
       Special Courier)およびシュナップスに似たフルーツ・ブランディーは
       美味。
       水道水は飲まないようにした方が無難。部屋には大抵ミネラルウォータ
       ー(エビアン)がおいてあるし,又いつでも頼めるのでこれをお勧めする。
 
◆ 気 候 : 山岳気候のため地域によりまた標高により気温が大きく変化するが
       南部は熱帯性気候で,モンスーンもある。東部は西部よりも温暖。
       プナカ,ウォンディフォドラン,モンガール,タシガン,ルンチのある
       中央渓谷は,亜熱帯性気候で冬は寒い。
       ハ,パロ,ティンプー,トンサ,ブムタンの気候はより厳しく,冬には雪が降る
       こともある。一般人が往き来する最高地点は標高3,050mのドチュ・ラ(峠)で,
       1月末から2月始めにかけて氷結することがあるが,除雪作業を行うので通行
       に支障はない。また,この時期は観光には4輪駆動車を使用する。
       7,000m級の山々が聳える北部は夏にモンスーンがあり,また冬には大量の降雪
       があって峠は通行できなくなるが,3,500mを越える地域には冬季に人が住むこ
       とはない。
       概して冬(11月中旬から3月中旬)は乾燥しており日中は日が差していれば
       16〜18℃位だか,夜間および早朝は寒く0℃以下になる事もある。
       春(3月中旬〜6月中旬)は次第に温かくなってゆき,日中は27〜29℃,夜間は
       18℃前後になる。 6月中旬にはモンスーンが訪れ最初の数日は雨が降り続ける
       が,その後は大抵夜半のみ。気温は日中で23〜24℃,夜間は15〜16℃位。
       7月,8月はモンスーンの雨季だが,雨が降り続いた後には何日も晴天が続く。
       最後の大雨の後,突然秋(9月末〜11月中旬)が訪れる。空が澄み渡り,そよ風が
       吹くすがすがしい季節。西部および中部地域は総じて一年を通し旅行が可能
       である。
 
◆ 平均気温 :

 

1月

2月

3月

4月

5月

6月

最高

 21

 21

 24

 24

 27

 27

平均

 10

 13

 14

 18

 22

 22

最低

 -5

 -4

  5

  7

 12

 13

 

7月

8月

9月

10月

11月

12月

最高

 28

 27

 25

 25

 21

 18

平均

 22

 21

 18

 14

 12

 10

最低

 13

 13

 12

  8

  3

 -3
 















 
 
◆ 服 装 : 季節だけでなく,標高によっても気温は大きく変化し,また昼夜の温度差も
       激しいので,コットンのシャツ,プルオーバー,ウールのカーディガンや
       ジャケット等重ね着の工夫をするとよい。一般的にはカジュアルな服装で
       十分だがショーツ,ミニスカート,ローカットのTシャツなど肌を露出する
       ような服は避けること。
       6月から9月の間はコットンやウールのセーターが適しており,10月から5月は
       ダウンジャケットや暖かいコ一トを持っていくとよい。
 
◆あると便利なもの:常備薬,虫よけ,ウェットティッシュ,ティッシュペーパー,懐中電灯
          ,うがい薬,のど飴,目覚まし時計,電池,フィルム,日本食,ビニール
          袋,輪ゴム,石鹸(どこへ行っても香料の強いジャスミン石鹸しかな
          いので,気に入った物を日本から持参するとよい。)
 
◆ ショッピング:キラ(女性用),ゴ(男性用)などの織物,チャムの面などの手工芸品,
        マニ・ラコル(経文車)等の宗教具,竹細工,藤細工,木彫品,タンカ(仏画。
        但し年代物は不可),切手集,絵はがき,ポスター,ブータン地図,Tシャツ,
        ミュージック・テープ,竹の弓矢,チェゴ(乾燥チーズ)。土産用のチョコレー
        トやケーキなどは見かけない。
 
◆ 写真店 : ティンプーにはフォトショップが数軒あるが,カメラやアクセサリー類
        は置いていない。フィルムや電池などは日本から十分なストックを持
        っていくこと。
        特にカラースライド(ポジフィルム)は入手不可。またフィルムの現像
        もかなり質が落ちるので,帰国後日本で処理する方がよい。
 
◆ 煙 草 : ティンプーではインドその他外国製のシガレットも買えるが,それ以外
       では禁煙の傾向があり入手し難い。必要量は持ち込んだ方が無難。
       2004年12月17日に煙草の販売は一切禁止され、違反した店は営業許可
       を取り消され、1万Nu(約2万4千円)の罰金を科される。外国の煙草には
       100%の関税がかけられる。
 
◆ クリーニング: 大体1日で洗濯及びアイロン掛けができる。ティンプー及びフンツォリン
         以外ではドライクリーニングは不可,それも1週間以上かかる。
 
◆ チップ : チップの習慣がないのであまり気を使う必要はない。ホテルのボーイなどに
       特別なサービスを頼んだときには5〜10ニュルトラム程度を渡せばよい。
 
◆ 現地へのお土産:
        ブータンでは知人などを訪問する場合ちょっとした手土産を持参する習慣
        があるので,ポスター,キーチェーン,ステッカーなどを用意しておくとよい。
        特にボールペンなどの文房具は大人にも子供にも喜ばれる。
 
◆ マナー・習慣:
     1) むやみに子供の頭をなでない事。(頭は神聖なところとされている。)
     2) むやみに子供や村人にお菓子や文房具,薬などをあげない事。
     3) 寺院内を見学する際には,必ず靴を脱ぐ事。また時計回りに回る事。
     4) 寺院は瞑想や修行の場所なので,決して不敬な態度をとらない事。ガイド
       や僧侶などの指示に従い,節度のある行動をとるよう心掛けたい。
 
◆ ビジネス・アワー:
       官庁は11月から3月までの月曜日から金曜日までは午前9時から午後4時まで,
       それ以外は午前9時から午後5時までオープン,土曜日は午前9時から午前11時
       まで営業,日曜日は休業となっている。商店は大抵日曜日も含め午後7時まで
       オープンしている。
 
◆ 入出国管理:入国ビザが必要(予めパスポート明細に写真を添えてビザの申請を行う)。
       パロ行きの便に搭乗する際にビザ番号がなければ搭乗を拒否される。
       ビザはパロ空港到着時点で入国管理者によりパスポートにスタンプされる。
       その際US$20が徴収される。尚,政府の方針により,初めてブータンを訪れる
       場合観光ビザしか発給されないので,入国目的は公用,商用の如何を問わず,
       観光とすること。
 
      出国に際しては出国税US$10(300 Ngultrum)が徴収される。
 
◆ 税 関 : 旅行用としては不自然なほど多量のカメラ,電化製品は別にして,特に持ち込み
      規制はない。カメラやビデオは個数の如何を問わず税関申告書に記入の事。
       尚,空港では米ドルや日本円からニュルトラムへの交換ができる。
      出国の際は,動植物(蝶のサンプルも不可),鉱物,仏具などの骨董品の持ち出し
      が禁止されている。
 
 
 
 
 
 
 
                 ブータン・モデルパターン
 
 注意 1.ブータンの観光はTourism Authority of Bhuton(TAB)およびその指定現地
     代理店ツアーオペレータが管理しており,ホテル事情等で必要やむを得ない
     場合には旅程を変更する権利を保留しております。またAviation and
     Tourism International(ATI)はこれらのサービス提供者との仲介をおこなう
     もので,私どもの提示したプログラムであると否とに係わらず,旅行者が蒙っ
     た損失,傷害については責任を負いません。自然災害,政争,暴動などにより
     当初見積費用以外の追加費用が発生した場合は旅行者の負担となります。経
     路もしくは日程が変更された場合は払い戻しは行いません。
 
    2.下記に纒めた通り,施設によっては外国人が滅多に入場を許されていないも
     の或いは一定期間閉鎖されものがあります。これらが日程に含まれている場
     合,これらの施設は外から見学することとなります。
 
     パ ロ … タクツァン僧院およびキチュ・ラカンは外国人に解放されてい
           ません。
     ティンプー … タシチョ・ゾンは12月から5月までは一般に公開されていま
             すが,6月から11月までは公開されていません。
     プナ力 … プナカ・ゾンは6月から11月までの6ヶ月間は一般に公開されて
           いますが12月から5月までの6ヵ月間は公開されていません。
     ウォンディ・フォダン … ゾンに入るには特別の許可が必要です。また現在
                 ゾンが修復中のためツェチュ(祭り)のとき以外は
                 ゾンへの入場はできません。
 
    3.旅程中のホテルは一例として挙げたものです。詳しくはブータン・ホテル・リ
     ストをご覧下さい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 (1) 4泊5日基本プラン(パロ,ティンプー)    金KB106/火KB105
                        日KB106/木KB1O9

日次
 

 地 名
 

現地
時刻

交通
機関

       旅     程
 

1


 

パロ着
ティンプー

 

午後


 

飛行機
バス

 

ドゥルック航空にてバンコクよりパロに到着。
入国手続き後,ブータンの首都ティンプーへ。

宿泊:ドゥルック・ホテル

2



 

ティンプー



 

終日



 

バス



 

ティンプー終日観光。(メモリアル・チョルテン,
国立図書館,ハンディクラフト・エンポリウム,
タシチョ・ゾン)

宿泊:ドゥルック・ホテル

3



 

パロ



 





 

バス



 

ブータンの冬の首都パロへ。
着後パロ観光(国立博物館<タ・ゾン>,パロ・ゾン,
伝統的民家,商店街,キチュ・ラカン)

宿泊:オラタン・ホテル

4




 

パロ




 

早朝




 

バス




 

ドゥゲ・ゾン廃墟を見学後,断崖に建つタクツァン僧院を望む展望台へトレッキング。
上りは馬もしくは徒歩,下りは徒歩となります。下山後,ホテルへ。

宿泊:オラタン・ホテル

5


 

パロ発


 


木は
午後

 

バス
飛行機

 

パロ空港へ。
ドゥルック航空にてバンコクへ。
タシデレク(さようなら)

 



 
 
特徴:パロとティンプーに的を絞ったショート・プログラムです。
 
 
 
 
 
 (2) 5泊6日基本プラン(パロ,ティンプー,ウォンディ・フォダン,プナカ)
                       水KB106/月KB105

日次
 

 地 名
 

現地
時刻

交通
機関

       旅     程
 

1


 

パロ着
ティンプー

 

午後


 

飛行機
バス

 

ドゥルック航空にてバンコクよりパロに到着。
入国手続き後,ブータンの首都ティンプーへ。

宿泊:ドゥルック・ホテル

2



 

ティンプー



 

終日



 

バス



 

ティンプー終日観光。(メモリアル・チョルテン,
国立図書館,ハンディクラフト・エンポリウム,
タシチョ・ゾン)

宿泊:ドゥルック・ホテル

3







 

ティンプー
 ↓
ウォンディ
 フォダン
 ↓
プナカ
 

 

早朝







 

バス







 

標高3050mのドチュ・ラ峠を越え,風の町ウォンディ・
フォダンへ。
                   
ウォンディ・フォダン・ゾンと対岸の段々畑そしてのどかなウォンディ・フォダンの街並みを見学後,古都プナカへ。                      
プナカ・ゾンとひっそりとしたプナカの街の佇まいを見 学。

  宿泊:ザンドベルリ・ホテル 

4




 

プナカ
 ↓
ティンプー
 ↓
パロ
  

午前




 

バス




 

ティンプーを経由しパロへ。        
途中,ドチュラ・カフェで休憩。       
着後,パロ観光(国立博物館<タ・ゾン>,パロ・ゾン,商店
街,キチュ・ラカン等)
             
                         
 宿泊:オラタン・ホテル

5




 

パロ




 

早朝




 

バス




 

ドゥゲ・ゾン廃墟を見学後,断崖に建つタクツァン僧院を望む展望台へトレッキング。
上りは馬もしくは徒歩,下りは徒歩となります。下山後,ホテルへ。
                        
 宿泊:オラタン・ホテル   

6


 

パロ発


 


木は
午後

 

バス
飛行機

 

パロ空港へ。
ドゥルック航空にてカトマンズへ。
タシデレク(さようなら)

 



 
 
特徴:1)ブータンの主要観光スポットを駆け足で巡ります。
  2)便の都合で帰路はカトマンズ到着となります。
 
      《みどころ》
 
   〔ドゥルック航空〕(ブータン国営航空)
 
  BAe146型機。71人乗り。うちビジネス・クラス10席。天気さえ良ければヒマラヤ連峰が
 次から次へと機の左手に見え,パロへの飛行は圧巻である。低空飛行に移ると飛行場や街
 の様子が見えなくなるが,突然,渓谷に近づき原始林や小さな僧院や寺院そして民家などが
 点々と見える。ランディング間際には肥沃なバロ渓谷や広大なバロ・ゾンそれにくねくね
 と曲がったバロ・チュ(川)がちらりと目をかすめる。
 
              〔西部ブータンについて〕
 
  ブータン第2の都市パロはのどかな田園風景が広がる美しい谷である。丘の中腹には
 彩色した白壁の堂々たるパロゾンが町中を見おろしている。首都ティンプーは人口
 30,000人。そこには一般病院や図書館,ラジオ局,銀行,郵便局,商店,映画館,ホテル,
 レストランなど様々な都市の機能がある。そこはまた,国王の政庁でもあり,国会議事堂
 でもありブータン仏数の総本山でもあるタシチョ・ゾンがあるところでもある。
 標高1,463mのプナカは暖かく湿った感じの谷で,ティンプーに住む人々の避寒地でもある。
 標高1,200mのウォンディ・フォドランは2つの川の合流点の丘の上に白亜のゾンが天を
 突いて聳え,対岸には段々畑が広がる極めて印象的なまちである。
 ここでは年中強風が吹いている。
 
    〔バ ロ〕PARO
 
     ドゥゲ・ゾン(Drukgyel Dzong)
  「ブータン人の勝利のゾン」の名で呼ばれるこのゾンは商店街からおよそ15km。
 国道の終点にある廃墟。1650年代にチベット軍を撃退したのを祝い,またバロ渓谷への
 さらなる侵略に備えて北西の砦として築かれたもの。1951年火災により焼け果て雑草に
 覆われた石畳や崩れかけた土壁が往事を偲ばせる。1985年荒廃から守るため板葺き屋根
 を修復した以外は手を加えられていない。晴れた日には遠くチョモラリ山(「女神の山」
 の意。7316m)が眺められる。
 
    国立博物館(タ・ゾン)(Ta Dzong)
  丘の上の17世紀の望楼(タ・ゾン)を利用した博物館で美術品,絵画,ブロンズが収められ
 ている。織物,宝石,手工芸品のコーナーやブータンの動物や蝶の剥製のギャラリーもある。
 切手のホールは特に人気があり,立体切手,レコード切手,絹製切手,浮彫り切手やヤクを
 描いた有名な三角切手などを展示している。月曜日および祝日を除き毎日午前9時から
 午後4時まで開館。日曜日は11時からのみ開館。
 
    パロ・ゾン(Paro Dzong)
  リンプン(「宝石の山」)・ゾンとも呼ばれるこのゾンは1645年チベット僧シャブドラン・
 ガワン・ナムゲルによって 15世紀の小さな要塞があった場所に建てられた。
 この堂々たる矩形の城塞はゾン建築を代表する典型的建造物となっている。
 パロ・ゾンは今日では県庁の所在地でもあり200人の僧侶を擁する国家仏教団の所在地
 でもある。緩やかな勾配の敷石道路もしくは警備小屋に隣接する板葺き屋根の美しい
 木の橋から入場する。
 
 
    ショッビング街
  鮮やかな彩色デザインと伝統的な様式で建築されたメインストリート沿いの家屋。
 一階には小さな店があり,鍋釜,金物,小麦粉,バター,油,塩,砂糖,平豆,それに僅かの缶詰
 といった山村にありがちな基礎的必需品を商っている。音楽テープ(カセット)はお土産に
 お勧め。これといった化粧品類や電気器具の店はないがインド人の床屋はみもの。
 
   キチュ・ラカン(Kyichu Lhakhang)
  新旧2層の寺院から成る。元々のキチュ・ラカンは,伝説によれば,7世紀にチベットの
 最初の仏教徒の王であるソンツェン・ガンポが建立し,19世紀に再興されたものである。
 キチュ・ラカンは仏教の布教を阻止せんと大魔女がチベットおよびヒマラヤ全域にわたり
 身を横たえたのに対抗すべく108の寺院の一つとして建立されたものだという。
 ラサ(チベット)のジョカン寺は魔女の心臓部に,そしてキチュ・ラカンは左足に建てられた。
 グル・リンボチェもここを訪れ瞑想をおこなっている。外国人に一般公開されていない。
 
   タクツァン・ゴンバ(「虎の巣」僧院,標高2950m)(Taktsang Gompa)
  ヒマラヤ世界で最も神聖な巡礼地の一つ。寺院は特別の許可がない限り外国人の拝観は
 許可されておらず,大抵は対岸の展望台まで案内されることとなる。伝説によれば,8世紀
 にタントラ教の大上人グル・バドマサンババ(クル・リンボチェとも呼ばれる)が虎の背に
 乗ってチベットから飛来し仏教を広めたのが他ならぬタクツァン・ゴンバであるという。
 タクツァン・ツアーは間違いなくブータン観光のハイライトの一つである。
 国道沿いのサッツアム・チョルテンからタクツァン展望台までは馬で2時間の上り(鞍から
 ずり落ちるという悲惨な思いでを作りたくない方には3時間の徒歩行をお勧めする),
 下山は徒歩のみで2時間。セーター,帽子,サングラス,水筒そして多少の食べ物を持って
 ゆくとよい。
 
    〔ティンプー〕THIMPHU
 
   メモリアル・チョルテン(Memorial Chorten)
  1974年にフシ・ブンツォ・チェグロン太后か1972年に亡くなった息子のジクミ・ドルジェ・
 ワンチュック第三代国王を偲んで発願したもので,ティンプーのランドマークとなっている。
 その遺体はブムタンのクジェ・ラカンに祭られているが,人々はメモリアル・チョルテンの
 祭壇の上に飾られている遺影に敬意を表する為ここを訪れる。チョルテンは街の人々の
 宗教生活に極めて重要な影響を有しており,他のストゥーパ(仏舎利塔)同様,仏陀の様々な
 情神や教えを象徴している。ここでは敬虔な人々が大きなマニ車を回しながらチョルテン
 の回りを時計方向に巡っているのを見かけることが出来る。
 
   国立図書館(National Library)
  1969年に設立され,1984年に今のブータン・スタイルの建物に移管された。
 ユニークで含蓄のあるブータンやチベットの書籍,経典や木版は勿論,ブータン,ヒマラヤ,
 仏数に関する外国の重要書籍も所蔵。二階には沈丁花(じんちよぅげ)のパルプから作った
 手漉きのブータン紙に印刷するのに伝統的に用いられている木版が展示されている。
 伝統施薬医院およびタンカ技芸学校はすぐそば。
 
   伝統施薬医院(Traditional Medicine Institute)
  日本語の定約はないが,要するに在来の施薬院で今なお鍼療法や薬草治療といった何
 世紀にもわたって伝えられている治療法を行っている。ここでは伝統的な薬の割合を
 見ることができる。道は行き止まりになっている。
 
   タンカ技芸学校(School of Thangka Painting)
  子供達が宣教師のデッサンや彩色技法を学んでおり,小さな雲を描くことから始め,
 数年後にはしまいには精巧なタンカを描きあげる。木彫や仮面制作のコースも併設。
 
   ハンディクラフト・エンポリウム(Handicrafts Emporium)
  国営手工芸品商店。タン力(「仏画」),竹細工,織物,木彫,宝石,書籍,陶器などほとんどの
 ものを販売。ここの価格はやや高くディスカウントもないが,品揃え,価格帯,品質などを
 調べるにはもってこいである。ここで物品を購入する場合は,先ず感じが良く辛抱強い
 店員から品物と一緒に受領証をもらい,これらを出口のキャッシャーに渡す仕組みとなって
 いる。すぐ近くには銀行,映画館および他の店がある。
 ここでは米ドル,日本円いずれも使用可。クレジットカードはアメリカン・エクスプレス
 のみ使用可。
 
   タシチョ・ゾン(Tashichho Dzong)
  ティンプーのゾンであり,政府および国家仏教団の所在地となっている。均衡のとれた
 荘厳な佇まいは見るものを楽しませて止まない。昔からのしきたりで国家仏教団は12月
 から5月まではパロに居を構えるため,この間タシチョ・ゾンは一般公開される。
 夏にこれら僧侶団がタシチョ・ゾンに移住すると公開禁止となり今度はプナカが公開される。
 タシチョ・ゾンは6月から11月まで公開禁止となるが外から見物するだけでもその価値がある。
 
   サンデー・マーケット
  ブータン人にも外国人にも見逃せないのが「サンデー・マーケット」。日曜日にも開かれ
 るが,土曜の朝はたくさんの人々が近郊の村々からやってくるのでもっと面白い。
 週一日だけ新鮮な野菜や果物が買える。エキゾチックな果物や見も知らぬ野菜の他,
 あらゆるかたちのバスケットやヤクの毛で紬んだローブや毛布,竹籠,織物,丸くて白い
 イースト・ケーキ,染料,バター茶用のお茶(Ja),唐辛子,ビャクシン,香料,祭祀用楽器,
 経典および高僧の肖像画などブータンの庶民生活の愛らしい品々を目にすることができる。
 
   シムトカ・ゾン(Simtokha Dzong)
  交通の要衝の丘の上に建ててられたシムトカ・ゾンはティンプーの南方6キロ,
 ティンプー,パロ/ブンツォリン,プナカ/ウォンディからの道が交差する地点にある。
 シムトカ・ゾンは1629年にシャブドラン・ガワン・ナムゲルがブータンに来て建立した
 始めてのゾンである。時間と拝観許可が得られれば必見の価値あり。
 ゾンカの学校となっており200人の学生がここで学んでいる。
 
   ドチュ・ラ(Dochu La)
  シムトカ・ゾンを過ぎるとブナ力/ウオンディ・フォドランへの道は次第に上り坂になり,
 45分程車に乗るとドチュ・ラ(標高 3050m)に着く。「ラ」とは峠の意味。
 ドチュ・ラでは大きな矩形のチョルテンと風にはためくダルシン(経文旗)が人目を引く。
 冬季或いは格別晴れた日には,ここから東ヒマラヤの高峰が眺められ息を飲む。
 ドチュ・ラから道は下り坂となり様々の植物の間を抜けプナカ/ウォンディ・フォドラン
 渓谷(1300m)に至る。
 
      〔ウォンディ・フォドラン〕WANGDI PHODRANG
 
  ウォンディ・フォドラン・ゾン(Wangdi Phodrang Dzong)
 ティンプーから 65kmの地点にある口ベイサ交差点を9km程南下すると,ウォンディ
 ・フォドラン・ゾンの麓にたどり着く。ウォンディ・フォドランは2つの川の合流点を眼下に
 望む要衝の山尾根に位置する。威風堂々のウォンディ・フォドラン・ゾンには州の仏数団が
 入っており,特別の参拝許可がなければ見学出来ない。
 これはシャブドラン・ガワン・ナムゲルが1638年に創建したもので,1683年にはブータン
 の第4代デシ(世俗の長。デブともいう)のテンジン・ラプゲが拡張を行った。銀板葺きの
 屋根,細い中庭そして他かな佇まいとが相俟って独特の雰囲気を醸し出している。
 麓から仰ぎ見る白亜のゾンは蒼天に聳えなかなか圧巻である。
 
   ウォンディ・フォドラン(Wangdi Phodrang)
  フォンディ・フォドラ・ゾンの麓の橋を渡り坂道を上っていくとやがて中央広場に着く。
 ここでは週末ともなれば小さなにわか店舗が店をひろげ,人々が集い,クラクションを
 ブーブー叫らすトラックや乗用車で賑わう。
 短く「ウォンディ」とも呼ばれるウォンディ・フォドランは午後から強風が吹くため,冗談
 めかして「ウィンディ・フォドラン」(風の強いフォダン)と言われる。興味深いことにここ
 にはいい宿泊施設もレストランもない。ティンプーからだと車でおよそ2時間半。
 
 
 
      〔プナ力〕 PUNAKHA
 
   プナ力(Punakha)
  ティンプーの東方65km,車でおよそ2時間半。ロベイサ交差点の北方9km。
 ウオンディ・フォダンまではロベイサ交差点を経由し車でおよそ3 0分。
 標高1350mのブナカは小さな村だが,そもそも300年間にわたって王国の冬の首都の役割を
 果たしてきたその歴史によりよく知られている。ジェ・ケンポ(大僧正。宗教界の最高権力
 者)の居所としても有名。
 
   プナカ・ゾン(Punakha Dzong)
  1637年にシャブドラン・ガワン・ナムゲルが築いたこのゾンはポ・チュ(男川)と
 モ・チュ(女川)の2つの川の合流点にまるで巨大な船のように鎖座している。幅は優に
 100メートルはある。1953年に第一回国会がここで開かれた。プナカが比較的低地にあり
 しかもティンプーが1950年代初頭に永世首都に定められるまでは毎年政府がティンプー
 からプナカへ移動してきたことに因みシャブドランがプナカを冬の首都として定めたもの。
 古来からラマ数の総本山であり,ジェ・ケンポをはじめ千人のラマ僧がいる。これらの僧侶
 達は夏の間はティンプー・ゾンで過ごす為,6月から11月までの6ヶ月間は一般に公開されて
 いる。
 
   チミ・ラカン(Chimi Lhakhang)
  ロベイサ近くの円形の丘の上に建つこの寺は,1499年にドゥルック派のクェンレイ
 (大司祭)ガワン・チョギェ以前「ブータンの神の狂人」ドゥルック・クェンレイにより
 チョルテンが建てられた地に建立したもの。子宝に恵まれない女性達の巡礼地と
 なっている。チメ・ラカン(Chime Lhakhang)ともいわれる。
 
 
              〔中部ブータンについて〕
 
  黒い森とソバ畑が広がる中部ブータンの観光他は何といってもトンサとブムタンで
 これらの地域は宗数と深く結びついており,山肌には小さな寺院や僧院が数多く点在して
 いる。標高2,250mのトンサはすり鉢型をした町の谷底部分にゾンがあり,かってその一部
 を旧街道が通っているユニークな存在である。トンサは初代国王も現国王も王位を継承
 するまえにペンロップ(領主)であったところで現ウォンチュック王朝と深い係わりを
 持っているところでもある。プムタンはチュメ(Chume),チェコール(Chekhor),タン(Tang),
 ウラ(Ura)という4つの谷からなる総称で,ブムタン県の首都ジャカール(Jakar)は特に
 チェコール渓谷にあるゾンとその麓の小さな村についていう。
 チュメとチェコールでは農業,クンとウラではヤクと羊の飼育を行っている。
 のどかな中部ブータンの光景は一生忘れられぬ思い出となろう。この地域では一年中
 ダウンジャケットや綿のセーターを欠かせない。
 
 【トンサ】TONGSA
 
   ガンテ僧院(Gantey Gompa)
  小山の上にまるでゾンのような佇まいをみせて建っているガンテ・ゴンパはニンマ派
 のべマ・リンパ上人の孫ベマ・トリンレイにより16世紀に建立されたものである。
 僧房は全て広い中庭の周りにあり,中央塔には5つの寺院が入っている。僧院の周りには
 その世話をする140人のゴムチェンの家族が住んでいる。数キロ先にフォブジカ村
 (Phobjika Village)がある。ガンテ渓谷はプータンでも有数の景勝地である。
 
   ペレ・ラ(Pele La)
  ウォンディ・フォドランから車で一時間程行くと標高3300mのペレラ。ここは西部
 ブータンと中部ブータンの境界をなしている。4〜5月にはシャクナゲやモクレンが美しい
 花を咲かせ,寒い冬には,まだ高地には放牧されていないヤクの群れを見かけることができる。
 
   チェンデブジ・チョルテン(Chendebji Chorten)
  べレラの頂上から45分程の距離(右手)にあるこの白亜のチョルテンは18世紀前半に
 建てられたブータン最大規模の仏塔で高さ約10m。ネパール風の目の描いてある丸型の
 チョルテンの横にブータン風の四角いチョルテンも立っている。ここからトンサまでは
 およそ42km。山を切り開いてつくった道は1,000mもの深遠をのぞかせており,極めてドラマ
 チック。
 
   トンサ(Tongsa)
  1980年代につくられたこの付は,首部ティンプーからだと車で約6時間。海抜2,200mの
 地にすり鉢状に開かれている。斜面には町や大きな民家が点在し,底の部分にはゾンが
 築かれている。ゾンの東方の山肌にタ・ゾン(望楼)があり,内部は軍神ゲサル王を祭る寺院
 になっている。小さなこの村には銀行,郵便局,警察もある。トンサの商人は大抵チベット
 系ブータン人で,レストランではシャバレ(挽き肉の揚げ団子),トリモモ(スープ入り蒸し
 パン)などのようなチベット料理を好んで出す。
 
   トンサ・ゾン(Tongsa Dzong)
  1647年,シャブドラン・ガワン・ナムギェルによりマンデ・チュー(川)を見下ろす難攻不落
 の地に建てられたトンサ・ゾンは,度々増改築が行われ,今日では中庭,廊下,通路および23
 の寺院からなる迷宮となっており,ブータンでも最も印象的なゾンの一つに数えられている。
 200人の地方仏教団は夏にはプムタンのグジェ・ラカンに移住する。かってゾンの中庭を
 (旧)街道が通っていた。拝観には特別許可が必要。
 
   フルチ(Hurci)
  街道沿いのこの村では綿毛のはた織りを見学する。ブータンでは,ヒマやウコギ科の
 葉を食べるブラ(Bura。ボラン Boranともいう)と呼ばれる昆虫からとれる絹も好んで
 用いられる。
 
【ブムタン】BUMTHANG
 
   ユト・ラ(Yuto La)
  ユトン・ラ(Yutong La)ともいう。息を飲むようなトンサ・ゾンを後にすると道は急に
 ヘアビンカープの上り坂となる。シャクナゲや裸の古木の森を過ぎるとやがて標高3400m
 のユト・ラ(峠)。トンサからここまで車でおよそ1時間30分(29km)。
 ここから険しい風景は一転し,たおやかなトウヒ(エゾ松)や羊歯(シダ)で覆われた
 スイスアルプスのようななだらかな谷間の田園風景に変わっていく。道はやがて小さな
 村々を通り,広大なチュメ渓谷(標高2700m)へと下ってゆく。
 
   ジャカール(Jakar)
  ユト・ラからさらに車で約2時間。チェコール渓谷の丘の麓の大地の上に開けた
 ジャカール(チムカールともいうがジャカールと呼ぶ方が普通)は標高2800mの小さな村。
 その少し上の丘,ブムタンを見おろす場所にジャカール・ゾンが建っている。村には木造の
 小屋がたくさんあり,小さな店や軽食堂をいとなんでいる。風に揺れる橋を渡り,右への道
 をたどればタンあるいはウラの渓谷に,さらに東部ブータンにいたる。
 
   ジャカール・ゾン(Jakar Dzong)
  ジャカール・ゾン(Jakar は Byakarとも書かれる)は渓谷を見おろす小さな山の尾根
 に建っている。このゾンは始めドゥルック派僧ガギ・ウォンチュック(シャプドルゥンの
 父君)がトンサを築いた後の1549年に僧院として建築し,後にゾンに改築したものであるが,
 1897年の地震崩壊により現在の小規模なものに再建された。
 当初ガギ・ウォンチュックが建築予定地に白い鳥が舞っているのを見て吉兆としたところ
 から「白鳥城」と呼ばれている。至近距離で眺めるのが難しく,遠くから見るのがよい。
 ここにはブムタンの行政府が置かれているが,僧侶団が入っていないのは珍しく,ブータン
 でもここだけである。
 
   クジェ・ラカン(Kuje Lhakhang)
  崖を背に3つの堂宇が並ぶクジェ・ラカンはそもそも7世紀のブータン仏教の開祖
 グル・リンポチェ(バドマサンババともいう)を記念して建てられたものである。
 右端の堂宇はリンポチェの体の跡が残っているという大きな岩の上に1652年に建立された。
 リンボチェはこの岩の上で瞑想を行いついに悪魔を退散させたという。クジェ・ラカンは
 クルジェ・ラカン(Kurje Lhakhahg)ともいい,クルは「身体」 ,ジェは「痕跡」という意味で
 ある。その手前の堂宇は1900年,初代国王トンサ・ベンロップ(領主)であった時代に建立
 したもので,バロのキチュ・ラカンと同じグル像が祭られている。
 左の堂宇は,国王一家の後援(特に皇太后アジ・ケサン)により1900年に建立されたもの。
 
   ジャンべ・ラカン(Jampey Lhakhang)
  バロのキチュ・ラカンと並んでブータンでも最も由緒ある寺院。7世紀にチベットの王
 ソンツェン・ガンポにより108の寺院の一つとして建立された。キチュ・ラカンは魔女の
 左足に,ジャンべ・ラカンは左膝に建てられている。外国人に一般公開されていない。
 
   タムシン僧院(Tomshing Gompa)
  1501年から1505年にかけてニンマ派(バドマサンババを始祖とする)の名僧べマ・リンパ
 (Pema Lingpa)により建立された。べマ・リンパはグル・リンボチェの生まれ変わりだという。
 本堂を囲むように回廊状に僧房が建っている。この僧院には当時のヒマラヤ地帯を描いた
 傑出した絵画が多く保存されている。川の向こう側にクジェ・ラカンが見える。
 
   メバルツォ(Mebartso)
  ジャカールからモンガル方向へおよそ10Kmの山中にあるメバルツォは,15世紀に
 べマ・リンパが「埋蔵宝典」(テルマ)を発見した場所であると伝えられている聖地である。
 メバルツォ(燃える湖)の名は,火を灯したランプを手にタン川に飛び込んだべマ・リンパが
 まだ炎が燃えているランプと開祖バドマ・サンババが隠したという仏像などをもって川の
 淵瀬から生還したことに由来する。メバルツォは実際は湖ではなく川が濁流する渓谷である。
 
 
 
 
    〔パロ・ツェチュについて〕
 
 
 バロのツェチュ(TSHECHU。祭り。月の10日を意味。)はブータン最大規模の賑やかな
ラマ教のお祭りである。
 毎年ブータン歴の2月10日(太陽暦の3月下旬から4月上旬に当たる)から5日間にわたって
繰り広げられる。
 今年は大陽暦の4月11日から15日まで開催。第一日はセルダ・ベーコル(金欄行列)という
長いラマ僧の行列から始まり,次々とマスク・ダンス(仮面舞踏)が繰り広げられ,合間には
アツァラ(道化師)が村人の弁当を開けたり,いたずらをしたりとひょうきんなパントマイム
で観客を沸かす。そもそもツェチュはブータンが幸せを謳歌するようにと高僧たちが始めた
もので,祭りのあいだ中タントラの神々が触発されそのご利益で招運除難が発願される。
この種の踊りはラマ僧達により演じられる宗教色の濃いものである。
 チベット仏数ドゥルック派の全能僧シャブドゥルン・ガワン・ナムギェル Shabudrung
Ngawang Namgyel(1594-1651)はブータン人の庇護者で(群雄割拠を終わらせ西ブータンを統一。
さらにチベット軍やモンゴル軍の侵攻を阻止し独立を維持した),タントラの数えに基づいた
多くの舞踏を創始した。宗教色の強いこれらの踊りはチャム(Cham)と呼ばれる。
ツェチュではこの他村人による跳踊が多く動きの激しい踊りも演じられる。こちらは村中から
選ばれた若者達が何日も練習を重ねてパフォーマンスするものである。これらの踊りや劇が
1日に3つから5つ披露される。ツェチュは毎日朝9時頃から午後3〜4時頃まで続く。最終日の
第5日未明には大きな絹のアップリケで作られたトンデル(Thongdel 掛け仏画。トンドュ Ton
gduともいう。ラマ教の開祖バドマ・サンババ<グル・リンポチェともいう>や2人の妃などを描い
たたもの)
がデァンカ(ゾンの上手の場所)の4階建ての建物の正面にかけられクライマックスを迎える。
夜明けの4時頃には会場に赴くことになろう。
 
 ツェチュの第1日目はゾンの「中庭」(ゾンの外郭をなす二階建ての建物と,ゾンの中心をなす
ウチという5階建ての建物との間にある矩形の石畳の庭)で踊りが行われ,2日目からはゾンの
上手にある大きな野外舞台「デアンカ」で踊りが繰り広げられる。ここには広い芝生の一角に
石畳が敷かれ,東側にはダンサー達の支度部屋がある4階建ての建物が,南側にはラマ僧達の
席がある2階建ての建物が,踊りの正面となる西側には王族や貴族の観覧席がある小さな建物が
ぐるりと野外舞台を取り巻いている。そして北側は広い芝生でゾンとつなかり,さらに後方の
山につながっている。この芝生の辺りいっぱいに人々が座り込んで見物している。
最終日(5日日)未明には色鮮やかなトンデルが「デアン力」の東側の4階建ての建物の正面
いっぱいにかけられ,ついで僧侶達の大法要が営まれる。
トンデルのご開帳時期は短く,日の出までに巻き上げられてしまう。
 
 チャムのダンサー達は豪華な黄色の絹や色鮮やかな錦(金欄)の衣装をまとい,しばしば骨を
彫刻した装飾品を身につけている。仮面は木彫のものと紙製のものとがあり,動物やおどろお
どろしい神々や骸骨,グル・リンポチェの化身或いは普通の人間などを表している。
大きくて重いので,怪我をしないよう頭を布紐で結わえ仮面を支えている。ダンサー達は仮面
の口もと(開口部)から外を見る。
 
 踊りは3つに大別される:
 道徳を戯曲風に仕立てた教訓的舞踊(男女の貴人の舞,牡鹿と猟犬の舞,閻魔大王の裁
きの舞),
 邪悪な精霊から身を守りその場を清める清めの舞踊(墓場の守神の骸骨の舞,牡鹿の舞
,憤怒尊の舞,黒帽子の舞,ギンとツォリンの舞,棍棒をもったギンの舞,刀をもったギン
の舞),
 そして仏教の勝利とグル・リンポチェの栄光を讃える仏法の舞踊(全ての鼓の舞,英雄
の舞,グル・リンポチェ八化身の舞)
がそれである。
 
 なおシャブドゥルン・ガワン・ナムギェルが創ったった踊りにはシャナグ(黒帽子の舞)
,シャナグ・ガチャム(鼓をもった黒帽子の舞),ドランニェン・チャム(ギターの踊り),
チョシェー(仏法歌),トゥンガム(憤怒尊の舞),グル・ツェンゲー(グル・リンポチェ八化
身の舞)といったものがあり,この他のギン・ダン・ツォリン(ギンとツォリンの舞),
サチャム(四匹の牡鹿の舞),ラクシャ・マンチャム,(閻魔大王の裁きの舞),フォレー・モ
レー(男女の貴人の舞)およびケーチャム(付属舞踊),シャワ・シャチ(牡鹿と猟犬の舞)
ギンスム(三種類のギンの舞),ドラミツェ・ガチャム(ドラミツェ太鼓の舞)といった舞踊
は色々な聖人によって創作されたものである。

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