第2章 照葉樹林文化
野生の植物を単に採集・利用するだけでなく、栽培までいかなくとも人間がある種の保護・管理を加えていた植物で、 そのため分布が垣根の回りや耕地の周辺など、人間の住居付近に多い。 いわゆる人里(ルデラル)植物であり、ヒガンバナはその典型的な特徴を示している。 人里植物は、排泄物が窒素肥料になりそれだけで実は大きくなる。 そのほかに日本の各地で焼畑のためではなく、ただ原野に火を入れるだけの山焼きがあるが(たとえば奈良の若草山)、 これはワラビの根を取るためという例が少なくない。 これなどもワラビの生育を人為的に管理した半栽培植物といえる。 ヒガンバナやワラビのほかには、テンナンショウ、ウバユリ、クズなどのイモ類、 トチ、クリ、クルミのように大型の堅果類を産する樹木、カジノキ、ウルシなども広い意味で含まれる。 (青森三内丸山遺跡)
梶の木は、東南アジアの熱帯地域原産で、縄文中期か少なくとも後期には伝播した。 暖地に多いクワ科の落葉高木で若い枝の皮はコウゾと同じように、和紙の製造原料になり、繊維も使われる。 又、桑の実に似た実からは果実酒ができる。弘前市八幡崎遺跡からは大量のカジノキの実が出土している。
日本での栽培植物は、ウド、セリ、フキ、ミツバくらいで、主力は外部からの移入による。 元来日本に自生していたものは、クズ、ヤマノイモ、オニユリ、ヒガンバナ(日本では三倍体、長江中流には二倍体)などがある。
葛(クズ) 暖温帯起源でメラネシアへ伝播したが、熱帯のメラネシアでは種子を結ばない。 根茎を突き砕いて水さらしするには、容器と大量の水が必要。 容器は丸木舟の形のものでサゴヤシに使われたものと同じ。桶は石器の刃物では作れない。 又、土器ではうまくできない。割り木をくり抜いて作るなら石器の刃物でできる。