第5章 資料
第1節 測定法
第3項 様々な年代測定法
様々な年代測定法
放射性炭素14Cによる年代測定
宇宙線が大気に入ると窒素と核反応して14Cを形成する。
通常は酸素と結合して炭酸ガスになり空気中に均一に分布している。
動植物の体内に同化吸収された14Cはその死後β線を放出して壊変し、安定な窒素14Nになる。
このときの半減期は5,730±40年である。(1962年の放射性炭素年代測定国際会議で採用)
従って動植物遺体に含まれる14Cの濃度を測定し、本来あるべき14Cの量がどれだけ減少したかをみることによって、
時間の経過を知ることができる。
これに供し得る試料は木炭、木、種子、果実、泥炭、土壌中の有機物、貝殻、サンゴ、鍾乳石、牙、骨、紙、皮革などで、
もっとも化学的に安定な試料は木炭であり、測定のための必要最低量は10gで、14Cの信頼限界は3万年前までである。
14Cによる年代測定では空気中の14Cの濃度が、同じであるという前提条件が必要である。
ところがこの14C濃度は時代や地域によって変化していることがわかった。
そこで補正が必要になる。
フィッショントラック法(FT)
フィッショントラック法ではウランが使われる。ウランは鉱物やガラスに微量含まれている。
ウランにはウラン238とウラン235の同位体があり、天然における存在比は99.3%と0.7%である。
ウラン238は時間の経過に従って一定の率で核分裂を起こし、それを含んでいる鉱物やガラスの中にキズ跡を残す。
キズ跡は長さ約11ミクロンで年代が古いほどキズ跡が多いので、キズ跡の数をかぞえて年代を測定する。
フィッショントラック法では火山灰層のジルコンを試料とする。
カリウムーアルゴン法(K−Ar)
火山灰層の雲母類・カリ長石・角閃石などの鉱物を試料
プラントオパール(石英機動細胞珪酸体)分析
藤原宏志(宮崎大学)
イネ科の植物は、別名珪酸植物といわれるほど多くの珪酸を含み、葉身の特定の組織の細胞壁に集中して蓄積される。
この珪酸体の蓄積した細胞は長年月の風化作用にも耐え、土壌中に残る。
普通の葉は水分を失うとしおれてだらりとなるが、機動細胞の葉はくるっと巻く。
このうち特に葉に固有な機動細胞を取り出し、現在のものと比較して古代の植生を復元する。
プラント・オパールは大きさ1/20ミリほどで、化学組成は宝石のオパールとほとんど同じである。
この数十ミクロンの大きさのプラントオパールを走査電子顕微鏡で調べ、プラント・オパールの形から、
インディカ、ジャポニカの品種の違いを識別し、さらに温帯ジャポニカ、熱帯ジャポニカの違いも区分できる。
プラント・オパールは少なくとも1,000〜1,200℃まで耐えられるので、焼成温度が800℃前後の素焼きの土器の胎土中にも、
融けずに残存することが可能で、それが土器胎土分析法である。
土器胎土分析法では土器片に超音波を照射し、もとの土に似た状態に戻し、プラントオパールをみつける。
素焼きの土器は1/10〜1/100ミリの細菌と1/1000ミリのウイルスをろ過するのに使うから、
1/20ミリの大きさのプラントオパールが後から入り込むことはない。
それによると、稲作の開始は弥生時代より古いが、これは天水田や焼畑によるものと考えた方がよい。
酸素の同位体比の測定による古気候の復元
酸素には18O、17O、16Oの同位体があり、
氷河の氷の中に取り込まれている重い18Oは、雪ができる時の気温が低いほど少なく、高いほど多くなる
フッ素・ウラン分析「騎馬民族」
骨が土の中に埋まると、土の中のフッ素・ウランを吸収する。
初めは表面付近にしか含まなかったものが、年月が経つにつれ奥深くまで含まれ量も多くなる。
熱ルミネッセンス法(TL)
火山灰層の石英・長石を測定試料
赤色熱蛍光(RTL)を用いる方法
電子スピン共鳴法(ESR)
火山灰層の年間線量率
古地磁気法(PM)
火山灰層で地磁気の反転を調べる。
複数の事象の起こった前後関係を示すのみで年代値は得られない。
露頭の最上位と最下位の年代を用い、その間の堆積速度を一定であると仮定して比例配分することで数値を得る。
熱残留磁気測定
炉跡や陶磁器を焼く窯跡推定の有力な方法。一定の温度以上で熱すると土中の磁気を帯びた鉄が、地球の磁場の方向に並び直す。
残存脂肪分析法
1.宮城県古川市馬場壇a遺跡13〜11万年前
石器にナウマンゾウとオオツノジカの脂肪酸が大量に付着
2.山形県高畠町押出(おんだし)遺跡
5,000年前のクッキー
クリ・クルミとシカ・イノシシ・鳥の肉を混ぜ、つなぎにイノシシの血・鳥の卵を使い、
岩塩と野生酵母を加えてよく練ったものをオーブンで焼いたもので、100gあたり400〜580kcal。
3.宮城県里浜貝塚
6,000年前の糞石
シカ・イノシシ
マガモ・ウミウ
オットセイ・アザラシ
フグ・マダイ・アサリ・ヒジキ
トチ・クリ・クルミ
蛋白質65g
糖質352g
2390kcal
野曽原式青銅鏡
錫100g
銅250g
還元剤として表面に炭粉をまく
本来は銀色でよく見る青色は緑青によるもの