第5章 資料
 第2節 遺伝
  第9項 遺伝子

 DNA上の塩基配列のうち、蛋白を作る情報を担う一定領域のこと。

真核細胞のDNA
           スペーサー
           ↓
□□□□■■■□□□□□□□□□■■■□□□□□□□□■■■□□□□□□□
                 ↑
                 遺伝子部分
遺伝子部分を拡大すると
                     イントロン
                     ↓
            □□□□■■■□□□□□
                 ↑
                 エクソン

さらに詳しく表すと

├─────────────遺伝子部分──────────────┤
□□□■■□□■■□□□■■□□□□■■■□□□□□□□□□□□□□
───┤├──┤├───┤├────┤ ├─────────────
│ │ │ │ └─イントロン
│ │ │ └──エクソン
│ │ └エンハンサー
│ └調節プロモーター
└コアプロモーター


 真核細胞のDNAは塩基30億程度でできており、遺伝子部分とスペーサー部分がある。 遺伝子はタンパク質合成を記述した部分で全体の3〜5%(1億5千万塩基)、5万〜10万個ぐらいある。 平均的なタンパクが600個のアミノ酸から構成されているとし、遺伝子の数を10万個とすると、 6000万のアミノ酸、1億8千万の塩基があることになる。  スペーサーは機能を持たないか、機能不明の部分で、全体の95〜97%を占める。  遺伝子部分はエクソンとイントロンからできており、 エクソンはアミノ酸の配列(タンパク質の構造)を指定する部分で、全体の1割以下しかない。 イントロンは遺伝暗号以外の介在配列(遺伝子発現の調節配列)で、遺伝子スイッチのオン・オフを制御している。
スイッチ
 その細胞に必要な遺伝子のみが働くようにスイッチが切り替わる。 スイッチボックスは遺伝子暗号の上流に並んでいる。 スイッチを入れるタンパクはスイッチが入ると、RNAに転写されるため転写因子と呼ばれる。

 基本的な遺伝子調節領域は3種類
 プロモーター(promoter)(p221)は遺伝をコントロールする。
センスとアンチセンス。 2本のDNAのどちらを転写するのか、どれくらいの量のmRNAを合成するのか決める。
プロモート(promote)とは「促進する」という意味である。
 コアプロモーターは、遺伝子の開始点(mRNA合成の開始点)やそのごく近くに存在する配列で, mRNAの合成装置が合成を始める準備を整える働きをする。 しかし,コアプロモーターだけではRNA合成は行わない。
 調節プロモーターはコアプロモーターの制御を行っている。 調節プロモーターも遺伝子の前方に位置している。 非常に長いDNA領域である場合もある。 調節プロモーターの中には、短い配列が多数含まれている。 それぞれの配列が細胞の状態に応じて、さまざまなタンパク質と結合し、 これらのタンパク質群が協調することで、mRNA合成装置の合成能を促進させたり、抑制させたりしている。 その結果、遺伝子からつくられるmRNAの量が細胞によって違ってくる。 mRNAの量の違いは、合成されるタンパク質の量に反映し、 タンパク質の量の違いは、その細胞がどんな機能をもつかといったことに影響をおよぼしている。
 エンハンサー
コアプロモーターや調節プロモーターと協調して、mRNAの合成能を増大させる塩基配列がエンハンサーで、 エンハンス(enhance)とは、「増大する」という意味である。 エンハンサーの位置とそのエンハンサーが制御する遺伝子の位置は、実にさまざまで、 2種類のプロモーターは遺伝子の前方に位置するが、 エンハンサーは遺伝子の前やうしろ、ときには遺伝子の中にある。 また、遺伝子から極端に遠くはなれたところにもみつかっている。 エンハンサーもタンパク質が結合したりはなれたりすることで、 対象となる遺伝子の発現を高めたり、抑制したりしている。


 細菌やファージの遺伝学が進み、大腸菌を宿主とするT4ファージを用いて、遺伝子の微細構造を明らかにする実験が行われた。 これはBenzer(1955) が、T4ファージとその突然変異体であるγIIという系統を用いて行ったものである。 正常の T4 ファージは大腸菌のK株細胞の上にまくと、細菌の細胞を溶かしてプラーク(溶菌班) を形成する。 ところがγIIファージは大腸菌K株の上ではプラークを形成することができない。 このγIIの突然変異を8種類とって、その2種類ずつを一緒にして大腸菌K株にまくと、時にはプラークを形成するものもある。 これは2種類のγII系統がγII遺伝子の中の異なった領域に突然変異を起しており、 混合感染させた大腸菌の菌体内で染色体の組換えを起し、遺伝子の欠失した領域を互いに補い合って正常のファージを生じ、 これがプラークを作ったものと考えられた。

 このことからBenzerは一つの遺伝子と考えられるものも、さらにいくつかの小単位に分けられることがわかり、 つぎのような単位を提唱した。
 (1)レコン (recon) : 染色体の乗換えを起すことのできる最小単位で、その距離は0.01〜0.02%くらいである
 (2)ミュートン (muton) : 突然変異を起すことのできる最小単位で、レコンより少し大きく、0.05%くらい。
 (3)シストロン (cistron) : レコンがいくつか集まってできた単位で、1種の生理的単位。 一般に遺伝子と考えられるのはこのシストロンに相当する。
染色体はDNA、ヒストンタンパク(丸いタンパク質)、ヒストン以外のタンパクが3分の1ずつでできている。
DNAはヒストンコアのまわりに2回巻きついており、この構造をヌクレオソームと呼ぶ。 ヌクレオソームはさらにコイルをつくってクロマチンと呼ばれる太い繊維構造をつくる。 このように整然と折りたたまれたDNAには、mRNAの合成装置が近づけないので、 クロマチン構造そのものに遺伝子スイッチをオフにする効果がある。 しかし、エンハンサーにタンパク質が結合すると事態は一変する。 そのタンパク質のはたらきで、クロマチンの特定領域がほぐれ、 そのほぐれた領域の遺伝情報をmRNA合成装置が写し取れるようになる。

ターミネーター
終了コードUAA、UAG、UGA

プロセッシング加工
 キャップ
 スプライシング(splice)=メッセンジャーRNAがイントロンを切り落としエクソンだけを貼り合わせる。
遺伝子の大きさ
 ヒト1組23本(23対46本)の染色体上のすべての遺伝情報を 一まとめにしてゲノムという。 ゲノムにはATGCの4種の塩基が並び、その数は約30億個、それがペアで約60億個ある。
 DNAの塩基対の数で表すと、ヒトで最も小さい遺伝子で0.3キロベース(1キロベースは1000塩基対)。 最大のドゥシェンヌ型筋ジストロフィーは2000キロを超える。 平均的サイズを10キロ(1万塩基対)とすると、塩基対は30億個だから、単純計算ではゲノム内に30万個の遺伝子があることになる。 3〜数個の新しい変異をもつことになるが、それでは種として存続できない。 10万以下なら毎世代平均1個以下で生存可能となる。RNAの種類から6万4千が目安になる。
 塩基対は3.4オングストローム間隔(1A=100億分の1m)、30億では1mそれが23個の染色体に分けられ、 直径10μ(ミクロン)足らずの核の中にペアで2本しまわれる。 これは1cmのボールの中に1kmのひもを2本収めることに等しい。 染色体はDNAのパッケージング・システムで、30億字の本は中公新書1ページに688字、1冊220ページとすると、 1冊あたり15万字、2万冊分に相当する。ただしこの本にはATGCの4文字しかない。

DNA上の塩基配列・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3個
逆転写↑ ↓転写(コピー)
↑ ↓イントロン切り出される
メッセンジャーRNA(mRNA)
↓エクソン部分だけが連結
↓翻訳
タンパク質のアミノ酸配列・・・・・・・・・・・・・・・1個
リボソームで行われる

ウイルスは3種類
DNAウイルス 天然痘
RNAウイルス インフルエンザ
レトロウイルス がん、HIV

すべての生物の正常細胞の中にがん遺伝子がある
その細胞のがん遺伝子を取り込んだウイルスががんウイルスであった
正常細胞のがん遺伝子を原型(プロトタイプ)であることから
「プロトがん遺伝子」と呼ぶ
プロトがん遺伝子の機能
1増殖因子 egf(様々な細胞の増殖を早める)
2増殖因子レセプター
3タンパクリン酸化酵素(キナーゼ)
4gタンパク(gtpと結合しているタンパク)
5転写因子
レセプター
微量な物質(ホルモン、増殖因子)をキャッチするために
細胞が持っているアンテナのようなもの
血液1mlあたり1/100万〜1/1億g

反復配列
動原体
染色体のくびれの部分
ここに紡錘糸がはたらく
この部分で父由来か母由来か分類する
アルー(Alu)と呼ばれる反復配列DNAが数万回
染色体の両端にテロメアという構造
TTAGGGという六塩基が反復
逆転写酵素が働いている
細胞の寿命に関係か?
その他の部分のアルー配列
300塩基対ほどの長さを単位としてゲノム内に何十万回
一単位の中に必ず一カ所アルーと呼ばれる
制限酵素で切れる場所
L1という反復配列
もう少し長い区間を単位
染色体をキナクリンという蛍光色素で染める
明るい部分と暗い部分の縞模様(バンド)
明るいバンド・・・AT対が多いアルー配列
暗いバンド・・・・GC対が多いL1配列

DNA多型
DNAレベルの個人差
プローブと制限酵素で検出
細胞組織に結びついている原子団あるいは分子
(1)非反復配列の多型
RFLP(リフリップ、リフラップ) (Restriction Fragment Length Polymorphism、制限酵素断片長多型)
制限酵素で切ったdnaの長さの多様性
(2)反復配列の多型
ミニサテライト(数十塩基対)
マイクロサテライト(2,3塩基対)
(ca)nはcaという2塩基の何十回もの反復

 対立遺伝子
父由来 ↓──────a──────↓
─────────────────
母由来 ↓────b───↓ ↓
─────────────────

ここで配列が異なる

塩基配列に個人差がある

DNA断片の長さが異なる

バンドにより見ることができる

バンド
aa bb ab
┌─┐ ┌─┐ ┌─┐
│ │ │ │ │ │
│●│ │ │ │●│a
│ │ │ │ │ │
│ │ │●│ │●│b
│ │ │ │ │ │
└─┘ └─┘ └─┘
ホモ ホモ ヘテロ接合性

「がんp151」
4万人に1人の劣勢遺伝の遺伝病があるとする
aaという両親からaaが生まれる確率は4人に1人
生む可能性のある夫婦は1万組に1組
aaxaaが1万組に1組なら
aaはその平方根で100人に1人
すなわち100人に1人は発病しないが保因者

ベクター(運び屋)
 ウイルス
 プラスミド(核外遺伝子)
  細胞質に浮いている遺伝子
  線毛というパイプを通って自由に移動

バクテリオファージ(細菌性ウイルス)
 細菌に感染するウイルス
 ファージはラテン語で「食べる」
テンペレートファージ
 バクテリアを破壊しない
 この中で新しい遺伝子をバクテリアに持ち込むものがプロファージ
破壊するのがビルレントファージ
テンペレートは「温和」、ビルレントは「破壊」という意味
トランスポゾン(転移性遺伝子)